【第4回:後藤コラム】「日常的な対話」を支えるツールの力

観光地経営において合意形成の場といえば、これまでは会議や説明会が中心であった。しかし、それだけでは継続的な学びや信頼関係の醸成にはつながりにくい。本当に地域を動かすのは、日々の何気ないやり取りの積み重ねであり、それを支える仕組みである。


■ 会議から日常へ
会議は重要だが、一過性に終わりやすい。必要なのは「日常に埋め込まれた対話」である。そこで効果を発揮するのが、グループウェアやオンラインツールだ。SlackやTeamsといったチャット型の仕組みを使えば、関係者は時間や場所に縛られずに意見を交わすことができる。ちょっとした気づきや疑問を気楽に書き込めることで、日常の中に新しい学びと気づきが生まれる。


■ ツール活用が生む「形成的相互作用」
こうした環境では、立場の違う人々がリアルタイムで互いの視点に触れる。宿泊業者は宿泊者数の傾向を共有し、飲食業者は来店動向を伝え、行政は手続きや規制の最新情報を整理する。そこに住民の声も加われば、断片的だった情報がつながり、共通の課題認識が形成されていく。このプロセスこそが「形成的相互作用」である。

■ 弊社の実践から
株式会社makesでも、こうしたツールを活用することが多い。たとえば地域の観光協会や事業者と共にSlackのワークスペースを立ち上げ、日常的な情報交換や相談の場を設けている。そこでの対話は、単なる報告や伝達ではなく、新しいアイデアや協働の芽が生まれる場となる。つまり、ツールの導入は目的ではなく、「形成的相互作用」を日常的に発生させるための環境整備なのだ。


■ 対話の仕組みがもたらす効果

①透明性の向上
意思決定のプロセスが見える化され、後追いで確認できる。

②関係資本の強化
日常的なやり取りの積み重ねが、信頼関係の基盤となる。

③持続可能性の確保
行政の担当者や外部支援者が変わっても、ツール上の仕組みが残るため、地域経営が途切れない。


■ まとめ
日常的な対話の仕組みは、会議の代替ではなく、会議を補完し、地域経営を継続的に強くする土台である。ツールを使った小さなやり取りの積み重ねが、やがて地域全体を動かす力となる。観光地経営において「内発性」を育み続けるために、こうした日常的な仕組みの整備が今、強く求められている。

次回は、この日常的な対話をさらに支える「データと可視化の役割」について取り上げる予定である。

株式会社makes 代表取締役 後藤 直哉

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