【第1回:後藤コラム】創業17年目のmakes:基本理念に込めた思い


「持続可能な観光地経営に貢献する」

この言葉は、創業17年を迎えるにあたり改めて株式会社makesが掲げた基本理念である。観光地を一時の賑わいで終わらせるのではなく、そこに暮らす人々、観光に携わる人々、そして地域の文化・自然資源が、ともに未来へ続いていくように。そんな願いと覚悟が、この短い言葉には込められている。

このコラムでは、makesがなぜこの理念にたどり着いたのか、そしてそこにどのような思いを込めて日々の業務に取り組んでいるのかをお伝えしたい。


■ 目の前の“賑わい”が、未来を奪うこともある

観光という言葉には、どこか明るく華やかな響きがある。新しい場所を訪れ、非日常を楽しみ、人々と出会い、文化に触れる——観光には人を動かす力がある。それゆえ、長らく「観光で地域を活性化しよう」というスローガンが全国各地で掲げられてきた。

たしかに、観光は地域にもたらす恩恵が大きい。宿泊業、飲食業、小売業への経済波及効果はもちろん、交流人口の拡大は新たな可能性や文化の刺激を生む。しかし、私たちはその現場で何度も“もうひとつの現実”を目にしてきた。

・観光客が増えすぎたことで、地元住民の暮らしが圧迫される
・観光ブームの反動で、地域が急激に静まり返る
・補助金で整備された施設が、数年後には廃墟となる
・観光を支える人材が、後継者不足で次々と現場を離れていく

つまり、「今さえ良ければいい」という観光施策は、長い目で見れば地域の持続性を損ないかねないのだ。


■ 理念の出発点:観光を“続けられるもの”にしたい

makesの理念をまとめるにあたり、私はひとつの問いを立てた。

「観光によって“続いていく地域”とは、どうあるべきか?」

この問いのもと、私が辿り着いた答えが、「持続可能な観光地経営に貢献する」という理念である。観光を一時の景気刺激策ではなく、地域の営みと調和する“経営”として再構築する。短期的な成果ではなく、中長期的な視野で地域とともに設計し、育てていく。私たちが掲げるこの理念は、地域に根を張り、暮らしを守りながらも、観光を“産業”として成立させるための道標である。


■ 「持続可能な観光地」とは何か

では、「持続可能な観光地」とは具体的にどのような姿を指すのか。

私たちmakesは、以下の3つの条件が揃って初めて、真に持続可能な観光地と呼べると考えている。

1.観光に関わる人が、誇りと収入を得ながら働き続けられること
2.地域住民が観光を迷惑ではなく“共に育てる資源”と感じられること
3.地域の文化・自然資源が損なわれず、次世代に継承されること

この3つのバランスがとれていなければ、たとえ観光客数や消費額が一時的に増えても、その観光地の未来は続いていかない。むしろ、地域にとって観光が“負担”になってしまうことすらある。


■ makesが大切にする5つの行動指針

理念を掲げるだけでは、観光は変わらない。makesでは、この理念を実現するために、日々の事業活動において次の5つの行動指針を重視している。

1.地域主体の視点を尊重する
  施策は外から押しつけるのではなく、地域の声から共に設計する。
2.「稼ぐ力」の創出に責任を持つ
  観光による安定的な収益構造を地域に残すことにコミットする。
3.マーケティングとデータに基づいた戦略を展開する
  感覚や前例主義ではなく、証拠に基づく判断を積み重ねる。
4.多様な主体と連携し、共創を促す
  行政、民間、海外パートナーなど立場を越えて協働する。
5.未来を見据えた事業承継と人材育成を支援する
  観光の現場が次の世代に引き継がれていく体制づくりを支える。

これらは、単なる経営方針ではない。いずれも、「地域が観光によって疲弊しない」「観光を続けていける仕組みを残す」というmakesの覚悟と信念の表れである。


■ makesが見据えるこれからの10年

今後、日本の観光を取り巻く環境はさらに複雑になるだろう。インバウンド市場は回復の一途をたどり、地方の人口減少はさらに進み、気候変動や災害への対応も観光地経営における重大なテーマとなる。

そのような時代において、makesは「観光によって地域が続いていく」社会の実現を目指し、引き続き各地での支援活動を展開していく。私たちの役割は、観光という希望を、単なる数字の達成ではなく、“地域の物語”として根づかせることである。


■ コラム連載に寄せて

この連載コラムでは、今回ご紹介した理念を出発点に、「持続可能な観光地経営とは何か」「その実現に向けて、現場でどのようなことが行われているのか」を具体的に掘り下げていく予定である。

観光に携わるすべての人にとって、そして地域を愛し、未来を信じるすべての人にとって、何かのヒントや気づきとなれば幸いである。

株式会社makes 代表取締役 後藤 直哉

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